こんなに緊張するレビューは初めてだ。それくらい好きな作品で、それくらい魅力を伝えたい。うまく表現できるか分からない不安もあるが、描けるところまで描いていきたいと思う。
「王ドロボウJING」とは?
本作は“王ドロボウ”であるジンとその相棒キールが、目的のモノを盗むための冒険を描いた物語。「ドロボウの都編」「第七監獄編」といったように、数話ごとに構成される独立した物語の連続となっている。
物語の舞台は各エピソードごとに、「世界中からドロボウが集まっている」「時間に支配されている」など全く異なる世界観を持つ。そこでジンは、ボンドガールのように毎回「ジンガール」と呼ばれる、舞台や盗む対象と何らかの関わりを持つヒロインと出会い、目的のものを盗むべく一緒に行動する形でストーリーが進む。
1st SHOT「ドロボウの都」を詳しく解説
風に吹かれる「賞金首」の旗。荒れ果てた土地に朝日が登る。神々しい太陽の光が見えたかと思えば、骸骨が馬車を飛ばしている。その馬車を飛ばすのは、大きな海賊船に乗ったドロボウたち。ドロボウたちはこの「泥棒の都」を目指してきたようだ。
するとオレンジのコートに身を包み、肩にカラスを従えて自信満々に佇む少年。彼は何者なのだろうか。
白のような外観をしたこの都こそが泥棒の都である。
シーンは変わって、望遠鏡を覗く怪しい目。多くの宝石に囲まれたその人物は、物色するように泥棒の都に来るドロボウ達を物色している。ジンのことも見つけるが、子供だと相手にはしてなさそうだ。どうやら王ドロボウから「ダブルマーメイドを盗む」と予告があったようだ。
ジンたちは都の中心に来る。ドロボウ達は、ドロボウのキング=王ドロボウがダブルマーメイドを盗むと予告があったと話ている。それをジンは黙って聞いていた。キールは男ばかりの都でうんざりしている。「女の子!」と思った人物はおばあさんであり、キールは心底がっかりする。キールと立ち話をしているとスリに遭ってしまった。思わずキールは「ドロボウ!」と叫ぶが、この都にいるのは全員ドロボウなのだ。「手の届かねえところに行っちまったな」と親切なドロボウの問いに対して「手ならすぐ届くさ」とジンはクールに回答。取り出した刀で脇にあった大きな巨像(ドロボウの都の長)を勢いよく切り倒す。するとどうだろう。虚像の手がスリを捉えた。ジンはすりの服を切り刻んで退散させた。特に大事そうにしていたのはエメラルドグリーンに輝く宝石。中には女性の眠る顔が浮かび上がっていた。
ジンたちは都内をうろついていると、先ほどキールが若い女性と間違えたおばあさんに話しかけられた。この時のジンの顔が意味深なのは伏線である。おばさんはどうやらこの都に長くいるらしい。この都のドロボウたちは、ダブルマーメイドという宝を狙って集まって出来た都だという話を聞く。そのダブルマーメイドは都の塔のてっぺんに存在する。塔の長であるコニャックが力にものを言わせて集めた宝石や塔に侵入したドロボウ達から宝を奪っているようだった。この都はコニャックのうまいようにできている。塔には数々の罠が仕掛けれられ、登り切ることすら困難。ダブルマーメイドは、おばあさん曰くひとつの宝ようだ。この世で唯一の宝。詳しいことを知りたいのであれば、酒場に行くといいと助言を受ける。このときのジンの表情もポイントである。
「ちょっとした運命を感じてね」とジンは移動中にキールに意味深な発言をする。おばさんが言っていた酒場につくや否や扉の奥からドロボウが飛んできた。物騒な酒場らしい。キールは若いお姉ちゃんを見つけたので文字通り飛んでいった。ジンは情報収集を続ける。そこで古株のウォッカに出会う。このように二つとないお宝を見せびらかすウォッカ。しかし、次の瞬間にもうジンの手に。ついでに虫歯も抜いてくれた。これには子分達も焦っている。お宝を盗まれたウォッカは逆上。ジンは「そんなに盗まれたくないならもっと盗まれないところがある」と虫歯とお宝を一緒にウォッカの口へ、そして胃へ。子分達はジンを攻撃しようとするが、キールを使って「キールロワイヤル」という決め技を繰り出してウォッカ軍団を一掃する。この力を認めたウォッカはジンを勝手に子分にする。
ところ変わって、長閑なテラス。また遭ったのはおばあさん。外にいた「めったに卵を産まない貴重な鳥」について問う。コニャックのコレクションのひとつになったようだ。すると、遠くからバイクのエンジン音が。颯爽と洗われたのは「ダブルマーメイドの宝の中には別の素晴らしい宝が眠ってある」と深みがあるメッセージだけを残して彼は帰っていく。彼の名はポスティーノ。要所要所で物語のポイントを運んできてくれる。「ばあさんは、どういう意味か知ってる?」のジンの問いに対して「それはきっとしょっぱいんだろうね」と何か物知りげな回答をするばあさんなのであった。
ウォッカが「気球を作って塔の上まで登るぞ」と団員に提案する。しかしジンは「アイツ(めったに卵を産まない貴重な鳥)に乗って飛べばいい」と言うが、みんなに笑われてしまう。なんでもめったに卵を産まない貴重な鳥は、羽があっても飛べず、体が大きくなり羽も縮み自分の巣にさえ戻れない状態になってしまったようだ。ウォッカ達は気球に服を使い、裸で塔のてっぺんに向かう。コニャックは見張りを怠らず、ウォッカ達の気球を見事に打ち落とす。
そうすると、めったに卵を産まない貴重な鳥が珍しく卵を産んだ。しかしコニャックの子分が卵をすぐに持って行ってしまった。そこに居合わせたおばあさんが悲しげな声で「コニャックってやつはいつも親子を引き離す」と呟く。思わずおばあさんの目から涙がこぼれ落ちる。きれいな、涙だ。ジンはただ見つめるだけである。
ジンはめったに卵を産まない貴重な鳥で塔の上まで行くことを決断する。めったに卵を産まない貴重な鳥を煽るようなことを言って、わざと鳥を怒らせた。なんと鳥の潜在能力を開花させようとしたのだ。おばあさんをエスコートして、なんとかうまく鳥を飛ばすことができた。月夜に映る鳥の姿は壮大だ。矢を飛ばしても鳥の鋼鉄の羽にはじき返されてしまう。鳥は無事に卵を取り返し大切に温めた。
ジンたちはコニャックの塔に進入して、キャンドルに囲まれたダブルマーメイドを発見する。ピンク色に輝くその宝は、昔ジンが聞いた結晶生物のことだった。思わずおばあさんも見惚れる。中には美しい少女が眠っている様子が分かる。そこでコニャックが登場。ジンを一掃しようと強そうな奴を登場させるもキールロワイヤルによって一瞬で決着がつく。同時にダブルマーメイドのガラスも砕け散る。キールはダブルマーメイドの中の美少女に駆け寄るが、先におばあさんが到達する。走っていくうちにおばあさんの変装が剥がれ、中から美しい女性が現れる。二人は抱き合い「お母さん」「シードル」とお互いを呼び合う。ダブルマーメイドは「親子」のことだったらしい。母は「ありがとう。私の娘を、一番の宝を盗み出してくれて」とお礼を言う。そこでこぼれ落ちた涙は宝石になった。ポスティーノが言っていた「ダブルマーメイドの宝の中には別の素晴らしい宝が眠ってある」の答えがこの涙の宝石だったのである。コニャックは「いつもこいつは泣いていたのになんでもなかった」と言うと、ジンは「悲しい時の涙と嬉しいときの涙が同じなわけないじゃないか」と言い残すと、颯爽と去っていく。そしてコニャックは悟る。この少年こそが、あの「王ドロボウJING」だったのだと。
登場人物
ジン
キール
おばあさん
シードル
ウォッカ
コニャック
今回盗んだお宝は?
感想・レビュー
記念すべき、第一回目のレビュー。大好きな作品だからこその興奮もあるが、冷静に「王ドロボウJING」のレビューを行いたい。
まずは完成された世界観を評価したい。他のどこにも属さない、まさに独特の世界観に、私たちは一気に引き込まれる。1st SHOTに関して言えば、ジンが登場したことで一気に物語に色がつく。
今回の見所はなんと行っても、「おばあさん」。王ドロボウJINGには、これから毎回ジンガールと呼ばれる美しい女性が登場する。今回はあまりジンガールとの絡みは多くなかったが、2nd SHOTからはかなり濃厚な掛け合いが繰り広げられるので期待していてほしい。
さて、話は戻すが、誰が予想してだあろうか。このおばあさんがダブルマーメイドに閉じ込められていた娘の母であることを。しかしジンは洋装していたのか、出会ってすぐに見抜いていたようなシーンがいくつかある。まっすぐにおばあさんを見つめているあたり、始めから変装をしていても素顔が分かっていたそうだ。ドラゴンが浮遊したときも、おばあさんの目論見が分かっていたかのように、颯爽と手を取り、ドラゴンの背中に乗せている。ダブルマーメイド(娘)が解放されたときも、特に驚くこともなかったので、本当に見抜いていたようだ。さずが王ドロボウ。
物語を二回・三回と見ると伏線の張られ方が非常にうまいことに気がつく。ポスティーノの宝に関するヒントもそうだが、おばあさんの「きっとしょっぱいもの」の反応もしかり。めったに卵を生まない鳥に対する思いも「いつも親子を引き離す」と遠回しにヒントがちりばめられている。この一見バラバラに見えるパズルのパーツが最後にはひとつにまとまる。この快感も堪らなく、癖になってしまう魅力のひとつであろう。
最後に
以上王ドロボウJINGの1st shotレビューである。百聞は一見に如かず。とにかく面白い作品なので絶対に見てほしい。きっとあなたもこの世界観に魅了される一人になるに違いない。
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