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映画『ロストケア』解説・感想│既に起こっている日本の悲劇

こんにちは、2児育児+ワンコ1匹の基本テレワークで日々あがいているぽんです。いつも訪問ありがとうございます(ブックマーク・スターもありがとうございます)。ブログ更新の励みになっています


映画『ロストケア』解説・感想

――「善意」はどこで罪に変わったのか

映画『ロストケア』は、一見すると連続殺人事件を扱ったサスペンス作品です。しかし、物語が進むにつれて明らかになるのは、「犯人探し」よりもはるかに重く、そして私たち自身の生活と地続きの問題でした。それは、日本社会が抱える介護の現実、そして“誰のために生き、誰のために死ぬのか”という根源的な問いです。

本作は、観終わったあとにすぐ感想を言葉にすることが難しい映画です。胸の奥に小さな棘が刺さったまま、しばらく抜けない。そんな余韻を残します。

あらすじと物語の軸

物語の発端は、介護施設の職員や利用者が次々と不審死を遂げる事件です。表向きは事故や自然死として処理されそうになりますが、検事の大友(長澤まさみ)はそこに違和感を覚え、独自に捜査を進めていきます。

やがて浮かび上がるのが、介護士・斯波宗典(松山ケンイチ)の存在です。彼は献身的で評判も良く、利用者やその家族から感謝されていました。しかし、調べが進むにつれて、彼が関わった高齢者の死には、ある共通点があることが判明します。

斯波はなぜ人を殺したのか。
それは本当に「殺人」だったのか。

映画はこの問いを、単純な善悪では切り分けさせてくれません。

斯波宗典という危うい存在

松山ケンイチ演じる斯波宗典は、非常に静かな人物です。声を荒げることもなく、感情を露わにすることもほとんどありません。その穏やかさが、逆に不気味さを生み出しています。

彼は介護という仕事に誇りを持ち、誰よりも利用者のことを考えているように見えます。実際、家族に見放され、社会から忘れられたような高齢者たちに、真摯に向き合っている姿は嘘ではありません。

しかし彼の中には、ある歪んだ確信があります。
「この人たちは、もう生きる意味がない」
「苦しみ続けるより、終わらせてあげる方が優しさだ」

それは一見、思いやりの言葉に聞こえます。しかし、その判断を下す権利が、果たして彼にあったのでしょうか。

斯波は神になろうとしたわけではありません。ただ、自分しかこの現実を引き受ける人間がいないと思い込んでしまった。その孤独と傲慢さが、彼を取り返しのつかない場所へ押し出していったように感じます。

対照的な検事・大友の視点

長澤まさみ演じる検事・大友は、非常に理性的な人物です。感情に流されず、法律と証拠に基づいて物事を判断しようとします。しかし、彼女自身もまた、介護の問題と無縁ではありません。

彼女の家族も高齢者を抱えており、「きれいごと」だけでは済まされない現実を知っています。だからこそ、大友は斯波をただの犯罪者として断罪することができません。

法は命を奪う行為を許さない。
しかし、法は介護の現場で起きている地獄を救えているのか。

大友は捜査を進めるほどに、その矛盾に苦しんでいきます。正しさとは何か、守るべきものは何か。検事としての立場と、一人の人間としての感情が、彼女の中で静かに衝突していきます。

「優しさ」という言葉の怖さ

『ロストケア』というタイトルが示す通り、この映画が描くのは「失われたケア」です。それは介護技術や制度の問題だけではありません。人と人との間にあるはずの、対話や葛藤、迷いといったものが、いつの間にか消えてしまった状態を指しているように思えます。

斯波の行為は、決して突発的なものではありません。長時間労働、低賃金、感謝されない仕事。介護現場に蔓延する疲弊の中で、「考える余裕」を奪われた結果として生まれたものです。

彼の優しさは、確かに本物だったのでしょう。しかし、その優しさは次第に独善へと変わり、相手の声を聞かない暴力になっていきます。

この映画が恐ろしいのは、斯波を完全な悪として描いていない点です。むしろ、「彼の考えが少しわかってしまう自分」に気づいた瞬間、観客は強烈な居心地の悪さを覚えます。

観る側に突きつけられる問い

『ロストケア』は、観客に答えを与えません。
「あなたならどうするのか」
「あなたは、この社会で何を見ないふりをしているのか」

そう問いかけてきます。

高齢者の孤独、家族の疲弊、制度の限界。それらをすべて理解したうえで、それでもなお「殺してはいけない」と言い切れるのか。逆に、「仕方がなかった」と言ってしまうことの危うさにも、映画はしっかりと目を向けています。

正解がないからこそ、この映画は重いのです。そして、重いからこそ目を逸らしてはいけない作品だと感じました。

おわりに

『ロストケア』は、派手な演出やわかりやすい感動を提供する映画ではありません。しかし、静かに、確実に心を削ってきます。観終わったあと、ニュースで見る介護事件の見え方が、少し変わるかもしれません。

誰かを断罪する前に、私たちはこの社会が抱えている「無関心」という罪と向き合う必要がある。そんなメッセージを、声高ではなく、淡々と突きつけてくる作品でした。

簡単に「良い映画だった」と言えない。
でも、「観てよかった」とは確かに言える。

それが、映画『ロストケア』という作品の強さなのだと思います。

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