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映画『事故物件ゾク 怖い間取り』ネタバレ解説と感想

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映画『事故物件ゾク 怖い間取り』ネタバレ解説と感想

事故物件ゾク 恐い間取り : 作品情報・キャスト・あらすじ・動画 - 映画.com

――恐怖の向こうにある、“人の痛み”を描いた続編


■作品概要

映画『事故物件ゾク 怖い間取り』は、2020年に公開された亀梨和也主演の『事故物件 恐い間取り』の続編にあたるホラー作品です。監督は前作に続いて中田秀夫。主演はSnow Manの渡辺翔太が務め、前作以上にリアルな恐怖と“人の心の闇”が描かれます。

タイトルの「ゾク」には、“続編”の意味だけでなく、“ゾクッとする恐怖”というダブルミーニングが込められています。
本作は単なるホラーではなく、「事故物件に住む人とは何か」「人の死をエンタメとして扱うことの是非」など、現代社会への問いも含んだ意欲作です。


■あらすじ(ネタバレあり)

物語の主人公は、芸人を夢見て上京してきた青年・桑田ヤヒロ(渡辺翔太)。
上京後すぐ、芸能事務所の社長・藤吉(吉田鋼太郎)に声をかけられ、「事故物件に住み、そこで起きる怪奇現象を撮影して話題を集めよう」という企画に誘われます。

当初のヤヒロは、半信半疑ながらも「テレビに出られるなら」と軽い気持ちで承諾。
彼の“住みます事故物件シリーズ”が始まります。

しかし、彼が訪れる物件の一つひとつには、想像を絶する「過去」と「怨念」が残っていました。
ヤヒロは、ただ怖がるだけでなく、「なぜこの部屋に霊が留まるのか」「そこにどんな人の想いが残っているのか」を考え始めるようになります。
恐怖と悲しみの狭間で、彼は次第に“生者と死者の境界”に近づいていくのです。


■エピソード①:自殺した女性の残留思念

最初の物件は、若い女性が自殺したとされるマンションの一室。
部屋の壁には黒ずんだ手の跡、窓には何かを引っかいたような傷があり、ヤヒロは夜な夜な女のすすり泣きを耳にします。

決定的なのは、深夜にカメラが捉えた“壁に頭を打ちつける女性の影”。
彼女は、死ぬまで誰にも助けを求められず、最後まで孤独の中にいた。
その痛みが、部屋そのものに染みついていたのです。

このエピソードで印象的なのは、恐怖と同時に感じる「哀しさ」。
ホラーというより、まるで“助けを求める声”が画面を通して届いてくるような演出。
ヤヒロは怖がりながらも、「この人を笑いのネタにしてはいけない」と直感的に思い始めます。
彼の中で、事故物件を“面白がる対象”から“向き合うべき現実”へと捉え直すきっかけになる場面です。


■エピソード②:古旅館に残る母娘の悲劇

次の事故物件は、廃業寸前の古旅館。
ここでは、かつて療養に訪れた少女が病気の苦しみから逃れられず、母親に首を絞められて亡くなったといわれています。
夜な夜な廊下には少女の足音が響き、誰もいない部屋から子どもの笑い声が聞こえてくる――。

やがてヤヒロは、鏡越しに少女と母親が“永遠に首を絞め合う幻影”を目撃します。
そこに映るのは、愛情と絶望の混ざり合った姿。
「母親は娘を殺したかったのではなく、楽にしてあげたかったのでは」と、観客の胸を締めつけます。

このエピソードでは、“間取り”が恐怖の一部として機能しています。
細長い廊下、ふすま、二階建てという上下の構造――
逃げ場がなく、母娘の運命が閉じ込められたような空間。
ホラー映画としてだけでなく、空間設計そのものが「生き地獄」を象徴しているのが見事です。


■エピソード③:シェアハウスの奇妙な共同生活

次に住むのは、降霊実験をしていたと噂されるシェアハウス。
過去に“心霊好き”な若者たちが集まって、実際に霊を呼び出す儀式をしていたという異常な場所です。

一見、今どきの若者たちが集まる普通の家。
しかし、夜になると誰もいないリビングに足音が響き、天井裏から笑い声がする。
そして決定的なのは、寝ているヤヒロの上に“透明な何か”が覆いかぶさる描写。
映像的にははっきり見えないが、「空気の重さ」で観客に恐怖を伝えます。

ここで興味深いのは、“人が集まるはずの場所にこそ孤独がある”という逆説。
仲間に囲まれているのに、誰も本音を語らない。
死者の気配だけが確かに残る――。
それは現代社会の人間関係の希薄さを、ホラーの形で象徴しているようにも見えます。


■ヤヒロが出会う“真の事故物件”

物語が進むにつれ、ヤヒロはただの“タレント”から、“死者と対話する者”へと変化していきます。
しかしその過程で、彼の周囲にも怪奇現象が起こり始めます。
撮影クルーの一人が原因不明の高熱で倒れ、音声には“聞こえないはずの声”が入り込む。
やがて、彼の恋人でありサポート役の春原花鈴(畑芽育)にも異変が起こります。

花鈴の実家こそ、“真の事故物件”だったのです。
彼女の母は、かつて不可解な火災事故を起こし、その際に家族を失っていた。
その魂が、今も家の中に留まり続けていたのです。

この事実を知ったヤヒロは、これまで撮ってきた事故物件映像を見返し、点と点をつなげます。
自分が体験してきた恐怖の多くが、“花鈴の家に導かれるための布石”だったのではないかと気づくのです。


■クライマックスと結末(ネタバレ)

花鈴の母の霊は、燃え残ったリビングの床下で見つかります。
彼女は「家族を守りたかった」という想いのまま亡くなり、その怨念が家に宿っていた。
火災の原因は母の放火ではなく、配線の老朽化による事故だったことも判明します。

ヤヒロは、カメラを前にこう呟きます。
「本当の事故物件は、“人の心”の中にあるんじゃないか。」

このセリフは本作を象徴しています。
部屋や建物そのものが呪われているのではなく、
人が抱える罪悪感・悲しみ・後悔が、その場所に染みつくのだと。

最終的にヤヒロは、事故物件住みますタレントの仕事を辞め、霊能師のもとで“供養”を学ぶ道を選びます。
ラストシーンでは、穏やかな表情で新しい朝を迎えるヤヒロの姿が映し出され、
恐怖と哀しみを越えた“救い”の余韻を残して物語は幕を閉じます。


■作品に込められたテーマ

① 死を「コンテンツ」にしてはいけないという警鐘

本作は、現代の“心霊系YouTuber”や“怖い話コンテンツ”への風刺でもあります。
誰かの不幸や死をネタに再生数を稼ぐ――その行為に対し、映画は静かに問いかけます。
恐怖は“楽しむ”ものではなく、“向き合う”もの。
生者が死者をどう扱うかで、その社会の成熟度が問われるのです。

② 「間取り」は心の構造の比喩

タイトルにもある“怖い間取り”は、単なる建築的な話ではありません。
閉ざされた部屋、入り組んだ廊下、誰も入らない押し入れ――
それらは、人間の心の奥底にある「触れてはいけない場所」の象徴です。
つまり“事故物件”とは、人間の心そのものを映す鏡。
空間を通して心を描く中田秀夫監督の手腕が光ります。

③ “ゾクッ”とする恐怖の質の変化

前作ではジャンプスケア中心の“驚かせ系”ホラーでしたが、
本作は“静けさの中にある不穏”を描く心理的ホラー。
音の消えた瞬間、カメラがゆっくりと部屋をなめるとき――
そこに「見えてはいけないもの」が潜む。
観客の想像力を刺激する恐怖演出は、さすが中田監督というべき完成度です。


■キャストと演技

渡辺翔太は、繊細で感受性の強い青年像を丁寧に演じています。
“幽霊に憑かれやすい体質”という設定が、彼の透明感ある表情に非常によく合っていました。
恐怖よりも哀しみを表現できる稀有な俳優だと感じます。

吉田鋼太郎演じる社長・藤吉は、表面上は豪放磊落ながら、どこか陰を持つ人物。
「商売のために人の死を利用する」という冷酷さと、「業界の厳しさを知る現実主義者」という両面を見事に体現していました。

そしてヒロインの春原花鈴を演じた畑芽育。
彼女の“怯えながらも真実を見つめる目”が印象的で、
物語の終盤で見せる涙のシーンは、ホラーでありながら胸を打ちます。


■感想・評価(筆者視点)

ホラー映画としてだけでなく、社会派ドラマとしても非常に完成度の高い作品でした。
「幽霊が怖い」だけで終わらず、「なぜ怖いのか」「その怖さの正体は何なのか」を考えさせる構成。
死や痛みを軽視せず、静かに寄り添う姿勢に誠実さを感じました。

特に、ヤヒロの成長物語として観ると、ぐっと深みが増します。
最初は“軽いノリで事故物件に住む青年”だった彼が、
最終的には“死者を弔う者”へと変わる――
この変化は、観客にとっても“恐怖との付き合い方”を考え直させるものです。

ホラーに慣れている人にとっては、ややマイルドに感じるかもしれませんが、
それでも演出の緩急や構図の巧みさは一級品。
静かにゾクッとさせる“間”の使い方は、まさに日本的ホラーの真髄といえます。


■ラストに残るメッセージ

ヤヒロが言った「本当の事故物件は、人の心の中にある」という言葉。
それは、現代社会そのものへの警鐘でもあります。
見たくない現実、忘れたい過去、蓋をしてしまった感情――
それらを無理に閉じ込めることが、やがて“事故”を生むのかもしれません。

“怖い間取り”とは、私たち自身の内面の構造。
生きるということは、誰もがどこかに“心の事故物件”を抱えているということ。
そこに光を当て、供養するように描かれた本作は、
ホラーでありながら、どこか温かい作品でもあります。


■総評

『事故物件ゾク 怖い間取り』は、
「恐怖」よりも「人間」を描いたホラーです。
幽霊の正体を暴くのではなく、
そこにある“想い”を受け止めること。
そして、「死」と「生」をつなぐ優しさを見つめること。

前作のファンはもちろん、ホラーが苦手な人にも観てほしい一本です。
恐怖の先に“静かな祈り”がある――。
その余韻こそが、本作の最も美しい瞬間でした。


結論:
恐怖とは、人の痛みを知るための窓。
“怖い間取り”の奥には、誰かの声が確かに生きている。

 

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