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映画『鬼滅の刃無限城編』、なぜ辛口コメントが多いのか？期待と現実のギャップに迫る

2025年、満を持して公開された『鬼滅の刃無限城編』。大人気シリーズのクライマックスを描く本作に、多くのファンが胸を高鳴らせ、映画館へ足を運びました。
ところが、SNSやレビューサイトには、意外にも“辛口なコメント”が数多く並んでいるのです。
「作画はすごいけど、なぜか満足できなかった」「映画というよりTVスペシャルだった」──こうした声の背景には、いったい何があるのでしょうか？この記事では、無限城編に寄せられた辛口評価の理由を掘り下げ、作品の本質を見つめなおします。

そもそも「無限城編」はどんな物語？

『鬼滅の刃無限城編』は、原作漫画のクライマックスを描く最終章の序盤にあたるエピソード。鬼殺隊と鬼舞辻無惨率いる十二鬼月との全面戦争が、異空間「無限城」で繰り広げられます。

映画では、柱たちと上弦の鬼との死闘が描かれ、圧巻のアクションと迫力ある演出が光ります。
とくに、ファン人気の高い“風柱・不死川実弥”や“岩柱・悲鳴嶼行冥”が本格的に活躍する点が見どころの一つとされていました。

期待値が高すぎた──「大作映画」への無意識のハードル

辛口評価が目立った最大の理由、それは“期待値”の高さにあるでしょう。

これまで『鬼滅の刃』は、TVアニメの域を超えるような高品質で話題をさらってきました。特に、2020年公開の『無限列車編』は、興行収入400億円超という前代未聞のヒットを記録。アニメ映画＝一大ブームを巻き起こす存在へと変貌させたのです。

この「前例」があったことで、今回の『無限城編』にも同様か、それ以上のインパクトを期待した人が多かった。しかし実際は、「物語の導入」に過ぎず、決着まで描かれるわけではありません。
これが「話が進まない」「盛り上がりに欠ける」という声につながったのは、ある意味、自然とも言えるでしょう。

TVアニメの延長に感じた構成とテンポの問題

一部の観客が口にしていたのが、「映画なのに、テレビスペシャルのようだった」という感想。これは脚本や構成の問題に起因していると考えられます。

無限城編の第1作は、非常に丁寧に各キャラの動きを追っています。
キャラクターの心理描写や演出に手間をかけている点は高評価なのですが、それが結果として“テンポの遅さ”を感じさせてしまったとも言えます。

また、テレビシリーズでは「次回へ続く」形でも視聴者は納得できますが、映画という“まとまりある作品”を観に来た観客にとっては、「ここで終わるの？」という不完全燃焼感が残ったようです。

映像と演出は文句なし！でも「慣れ」は怖い

作画・映像美については、今作も文句なし。戦闘シーンの迫力、キャラクターの動き、エフェクトの細やかさ──どれを取っても業界トップクラス。とくに悲鳴嶼と上弦の壱・黒死牟の戦いは、呼吸を忘れるほどの重厚感でした。

しかしながら、これまで常に最高レベルの作画を見てきたファンにとって、「当たり前」の基準が非常に高くなっているのも事実です。

“慣れ”というものは怖いもので、普通なら驚嘆するようなクオリティでも「いつも通りだな」と感じてしまう。結果、「作画は良いけどそれだけ」といった冷静な感想が並ぶことにもつながりました。

原作ファンとアニメ勢の温度差

もう一つ、辛口意見の裏には、“原作ファンとアニメファンの温度差”があるとも言われています。

原作ファンにとっては、無限城編は「どのキャラがどういう最後を迎えるか」を知っているため、今作が物語の“起点”であることを理解しています。展開がスローペースでも、「これは序章」と割り切れるのです。

一方、アニメのみで追っている層にとっては、「この映画である程度の決着が見られる」と期待していた人も多い。ところが、エンディングでは大きな進展や達成感が感じられず、「中途半端に終わった」という印象を強く残してしまいました。

映画としての“満足感”に欠けた構成

一般的に、映画という作品形態には「90分〜120分の中で、起承転結が描かれる」ことが期待されます。
しかし『無限城編』は、TVアニメの1クール分を分割して劇場公開したような構成。
これは、Ufotableの「劇場を軸にアニメの続きを展開する」新たな手法ではあるのですが、結果として「映画らしさ」が薄れたとも言われています。

例えば、煉獄杏寿郎が登場し、短い物語の中で全人生を見せきった『無限列車編』とは対照的に、今作は“まだまだこれから”という印象が否めません。