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【映画】「はるヲうるひと」佐藤二朗原作・脚本・監督作品ーこの映画が描くもの:貧困、暴力、家族、そして再生

こんにちは、2児育児+ワンコ1匹の基本テレワークで日々あがいているぽんです。いつも訪問ありがとうございます(ブックマーク・スターもありがとうございます)。ブログ更新の励みになっています

『はるヲうるひと』は、社会的な問題を直接的に描いています。売春、知的障がい者の扱い、家庭内暴力、女性の搾取、地方の閉塞感。いずれも現実に存在するテーマであり、単なる舞台装置としてではなく、“切実な問題”として突きつけられます。

そしてそのどれもが、登場人物一人ひとりの中で絡み合い、分かちがたく存在しています。例えば、暴力をふるう哲雄もまた、社会から取り残されている人物ですし、声を失ったいぶきも「ただ従うだけ」ではなく、時に誰かを庇い、守る側にもなっています。単純な善悪では語れない人間の“混濁”を、本作はとても正直に描いています。

それでもこの映画は、“救いの欠片”をどこかに忍ばせています。それは、いぶきの小さな抵抗であり、得太の曇りない眼差しであり、誰もがもう一度“春”を取り戻したいという願望そのものです。


台詞「春を売る仕事をしています」の意味とは

物語の中で、佐藤さつみ(演:坂井真紀)が言う「春を売る仕事をしています」という台詞は、本作の核心に迫る一言です。いわゆる“性を売る”ことを、あえて柔らかく表現しているこの言い回しは、どこか風情を感じさせながらも、その裏にある過酷な現実を隠そうとしているようにも見えます。

けれどもその言葉の裏には、「春=希望、ぬくもり、幸福感」といった象徴的な意味合いが込められているように思えてなりません。つまり、彼女たちはただ身体を売っているのではなく、「誰かの孤独を一時的に癒す手段」として、“春”という仮初めの季節を与えているのです。

その仕事は、同時に自分の“春”を削る作業でもあります。笑顔を貼りつけ、優しい言葉を投げかけ、たとえ相手が暴力的でも受け入れなくてはならない。その対価として、自分の尊厳や未来を失っていく。だからこそこの台詞には、静かで深い悲しみが宿っているのです。


タイトルの「ヲ」についての考察

本作のタイトルが「を」ではなく、「ヲ」という旧仮名遣いを用いている点にも注目したいと思います。

まず、「ヲ」という表記には、明確に“異質感”や“時代性”を帯びさせる効果があります。現代日本語では通常「を」と平仮名で書かれる助詞を、あえて片仮名で表記することで、“これはただの現代劇ではない”という雰囲気を持たせています。

この表記から読み取れるニュアンスとしては、以下のようなものが挙げられます。

  1. 時代性のずれ(停滞)
     舞台となる売春宿は、現代にありながらも、どこか昭和の香りが漂っています。外の世界と切り離されたこの場所では、時間が止まっているかのようです。「ヲ」という表記は、その“取り残された空間”の象徴にもなり得ます。

  2. “売る”という行為の異質さ
     「はるを売る」ではなく「はるヲうる」と書くことで、行為の不自然さや、非日常性が強調されます。つまり、「春=本来なら希望や出会い、命の芽吹きであるはずのもの」を「商品化する」「売買する」ということ自体の異様さを、この“ヲ”が際立たせているのです。

  3. 詩的な距離感
     「ヲ」という片仮名の鋭角的な字面には、どこか冷たさや突き放すような印象があります。まるで、感情を排除して“記号”として提示するかのように、私たちに「これは決して美談ではない」と警告しているようでもあります。

つまり、「ヲ」という文字は、本作のテーマである“人間の尊厳を削る商売”と、“そこから再生しようとする営み”の両面を、強く、そして痛烈に印象づける装置なのです。


まとめ:この映画が問うもの

『はるヲうるひと』は、観る人を選ぶ作品です。暴力的で、陰鬱で、出口のないような苦しみに満ちています。それでも私は、この映画を「観てよかった」と思える一作でした。

なぜなら、本作が描いているのは、私たちが日常の中で目をそらしてしまいがちな“生の現場”であり、そこで生きるしかなかった人たちの声だからです。決して彼らは美化されませんし、すべてが報われるわけでもありません。それでも、人は変わろうとすることができる。声をあげることができる。ほんの一歩だけでも、前に進むことができる――そう信じさせてくれるラストが、静かに心を打つのです。

もしあなたが、この映画を観て心をざわつかせたのなら、それはあなたの中にも“春を信じる感性”が確かに息づいている証拠です。

 

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