こんにちは、2児育児+ワンコ1匹の基本テレワークで日々あがいているぽんです。いつも訪問ありがとうございます(ブックマーク・スターもありがとうございます)。
2024年公開の映画『イマジナリー』は、『見えない友達』=イマジナリーフレンドという題材を用い、子どもの想像力の豊かさと、それを失っていく「大人になること」の哀しさ、そして再生の希望を描いたファンタジー映画です。本作はホラーやサスペンスの要素も孕みながら、根底にあるのは「想像力への信頼」と「心の傷を癒す物語」。以下では、作品の魅力やテーマについて深掘りしていきます。
【あらすじ概要】想像の友達が現実に現れたら?
物語は、ある少女が引っ越してきた古い家を舞台に始まります。彼女は家の中で古いクマのぬいぐるみを見つけ、それを「イライザ」と名づけて話し相手にします。やがて彼女の周囲では奇妙な現象が起こり始め、イマジナリーフレンドの存在が現実に干渉してくるように。母親や大人たちはそれを空想と断じますが、少女は次第に現実と想像の境目を超えていくのです。
【感想】「イマジナリーフレンド」という題材の新しい掘り下げ
「イマジナリーフレンド」はホラー映画でもしばしば取り上げられるテーマですが、本作はそれを単なる恐怖の源として描くのではなく、“心の奥底にある孤独”や“現実に適応しきれない心の逃げ場”としての存在に光を当てています。
本作では、「想像上の存在」が単に子ども時代の産物ではなく、“人間の心の反映”であることが強調されます。誰しも子どもの頃に空想の友達を持った経験があるかもしれませんが、それは単なる遊びではなく、世界との関係性を築こうとする心の作用だったのです。映画はその心理を丁寧にすくい上げ、「大人になるにつれ失われるもの」への哀惜を描き出します。
【考察1】空想の友達=心の投影
本作に登場するイマジナリーフレンドたちは、それぞれ創造者(子どもたち)の感情や傷を映し出しています。つまり、イマジナリーフレンドとは「見えないもう一人の自分」。この設定が、映画に深みと普遍性を与えています。
たとえば、主人公が語る「自分だけの世界」は、親に理解されず、友人関係もうまくいかない現実からの逃避です。しかし、イマジナリーフレンドを通じて彼女は少しずつ「他人との関係性の再構築」に向き合っていきます。ここで重要なのは、空想が現実逃避に終わらず、「癒し」や「再生」につながっていることです。
【考察2】ホラー要素と向き合う勇気
『イマジナリー』は時に恐怖を煽る描写もありますが、それはただ怖がらせるためではありません。むしろ「自分の中にある不安や傷とどう向き合うか」というテーマに直結しています。
例えば、闇の中から現れる異形の存在や、子どもの頃に感じた“得体の知れない恐怖”は、すべて内面世界の投影です。本当に怖いのは怪物ではなく、「自分を信じてもらえない孤独」や「大人に理解されない心」なのです。映画はそれをビジュアルに託しつつ、「その恐怖を乗り越えるには、まず想像力を取り戻すこと」が大切だと語ります。
【考察3】「大人になること」へのアンチテーゼ
この映画の核にあるのは、「想像力を忘れた大人たち」と「まだ信じている子どもたち」の対比です。大人たちは合理性と現実にしがみつき、子どもたちの見ている世界を理解しようとしません。その構造は、現代社会における“感性の枯渇”や“共感力の喪失”を象徴しているように思えます。
終盤にかけて、少女の母親が少しずつ変化していく描写は、物語の中でも重要な転換点です。かつては自分にもあった“見えない友達”の記憶を思い出すことで、彼女は娘との距離を埋め始めます。この描写は、大人たちに「忘れていた感性」を取り戻す余地があるという希望を示しており、観る者に静かな感動を与えるのです。
【演出と映像美】現実と空想の狭間を美しく描く
本作の魅力のひとつに、現実と空想の境界を曖昧にする映像表現があります。色彩の使い方、ライティングの変化、そして空想の中のキャラクターたちの造形は非常に緻密で、観客に“何が現実で、何が幻想なのか”を考えさせます。
特に印象的だったのは、クマのぬいぐるみ「イライザ」が次第に人間的な動きを見せていく演出です。最初はただのぬいぐるみに見えていた存在が、視点の変化とともにどんどん“リアル”に見えてくる。この変化は、観客自身が物語の中で「想像力を取り戻していく」過程とも重なって見えるのです。
【結末に込められた希望】想像力は世界を変える
ラストシーンでは、少女が空想の世界に別れを告げる描写がありますが、それは「想像力を捨てること」ではありません。むしろ「想像力を内面に取り込みながら、大人になる」ことを示しています。このバランス感覚こそが、本作の最大の魅力です。
子ども時代の心を捨てずに、でも現実と向き合っていく。その中で人は“強くて優しい存在”になれるというメッセージは、子どもだけでなく大人の心にも深く響きます。映画『イマジナリー』は、単なるファンタジーではなく、人生のどこかで誰もが感じる「心の成長の痛みと癒し」を描いた珠玉の物語でした。
【総評】忘れていた想像力を思い出す、静かな感動作
『イマジナリー』は、想像力の尊さと人間の心の奥深さを、美しい映像と繊細なストーリーテリングで描いた感動作です。子どもの心を持ったまま大人になってしまったような人、あるいは日々の忙しさに追われて想像することを忘れてしまった人にこそ、観てほしい作品。
単なるファンタジーやホラーにとどまらず、観る者の内面に静かに問いを投げかける――そんな余韻の深い一本です。
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