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【読書】「清く、貧しく、美しく」(石田衣良著)【男女が選んだ最後の結末】

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ようやく時間ができたので、久々に読書に勤しむことができました

気がつくと、あっという間に読破していて、ほぼ丸1日で読み切りました

改めて読書の楽しさとワクワクする展開の興奮を思い出させてくれました

石田先生ありがとうございます

個人的なおすすめポイントをご紹介していきます

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「清く、貧しく、美しく」レビュー

まず、感想を書くにあたって、今回の本のタイトルである「清く、貧しく、美しく」について自分なりに調べてみました

石田先生のインタビューを読んではいないので、完全に的はずれなことを言っているかもしれませんが、そこは読者の自由な解釈として許容いただきたいです

「清く、貧しく、美しく」の語源を紐解く

「清く、貧しく、美しく」でヒットしたのは、「清貧の思想」中野孝次だった

中野孝次さんは、二十世紀を代表する思想家の一人で、本作は日本古来に伝わる「清貧」の思想を再評価した内容となっているようだと

物やお金に溢れた物理的な幸せではなく、精神の豊かさに重きを置いた姿のことを「清貧」と呼び、決して文字面だけで「貧乏」とは判断できないことだ

まさに、今回の石田先生が描きたかったメッセージそのものだと感じた

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貧しく、でもまだ「清く、美しく」はない

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就職試験に失敗した主人公の立原堅志は、大学卒業後をずっとアルバイトで暮らしており、数年前に意気投合した恋人の保木日菜子とレインボーハイツで慎ましく暮らしいている

日菜子は争いを避ける性格や人との接触が苦手なことから、駅ビルのスーパーでパートとして暮らしいている

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二人は社会のヒエラルキーで言うところの下の階層にいると本人たちは認識していても、お互いに誉め会うことや辛いときこそ相手を思い存在の意義を確かめ合うという慎ましい生活をしていた

そんな二人に突如隣人の急病による出費や日菜子の高価なドレスのプレゼントなど、何かとお金に困るシーンが前半は駆け抜ける

このレインボーハイツは、こうした社会で「戦わざるを得ない人々」の集まりのように思える

隣人もずっとアルバイトのような生活で雨の日も風の日も警備の仕事をして、何処からか持ってきたか分からないオーディオコンポをフリマアプリで売りさばいて小遣いを稼いでいる

また、その奥の部屋には、シングルマザーが子供一緒に暮らしていたりする

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日本の、どこを見てもいるような登場人物が紡ぐストーリーは、小説のような疑似体験ではなく、リアルすぎるくらいの残酷があると思った

ある意味で、石田先生は今回こうした人々にスポットライトを浴びせ、私たちに警鐘のような、皮肉に似たメッセージを届けようとしているとも感じた

彼らのリアルな戦い方と目を背けたくなるほどの現状がこの本には込められていた

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二人がとった最後の結末

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個人的には、最高のハッピーエンドだった

物語中盤から登場した第三の人物の板垣氏

日菜子を何度もデートに誘い、交際の申し込みをしたが、結局は日菜子の考えにより断られてしまう

安直に、念願の正社員として働くことができる堅志は、同じく大手に勤める元恋人の佳央理と、そして日菜子は新たなスタートとして板垣と結ばれて、それぞれ違う人生を歩むような想像もしていたが、結果的に二人は大切なものを見つけて、昔のような恋人に戻ったのはとても清々しい終わり方だった

今回の小説のキーとなるものは、「心の豊かさ」であると思う

二人はそれぞれに社会的な劣等感を常に感じて生きていた

つまり、心に余裕も豊かさの欠片もない生活である

その日暮らしのような生活に、心の余裕を求めるのも苦かもしれない

アルバイトやパートという時給と労働を対価にしている以上、いつ首を切られてもおかしくない状況に追いやられ、「今日も何事もなく終わったね」と安堵して迎える夜は耐えがたいものがある

しかし、二人はそれが必然のように感じていたのだと思う

自分達は壁の外側の人間だ、と

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それでも、二人は最終的に目の前にあった誰もが飛び付くであろう輝かしい未来を捨て、また自分達から貧しい生活を選択した

これがこの作品の大きなターニングポイントであるのは言うまでもない

堅志は、あれほどまでに、30社もの会社に書類や面接で落とされて、喉から手が出るほどに欲しかった正社員という安定が約束された道を電話一本で切り捨てた

さらに昔の恋人との再燃も、あっさりと退けた

日菜子は趣味趣向が合う素敵な男性からの数少ない交際のオファーに一時は心が揺れつつも、堅志という存在の大きさと彼の未来のためにオファーを断った

結果的に元サヤに戻ったものの、彼女は一度堅志に別れを切り出している

二人とも、社会的に大きな信用な安心感を捨てたが、代わりに得たものがあった

それが、心の豊かさである

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堅志は、バリキャリの元カノの佳央理と縁を戻せば、それはもう華やかなビジョンになったことは間違いない

しかし、堅志が選んだのは、人と話すのが苦手で相手を優しく思うスーパーのパートをしている日菜子だ

さらに正社員・安定した雇用・昇給・ボーナスといった絵にかいたような夢を捨て、小説の書評家という不安定な道に進んだ

けれども、彼に迷いは全くない

日菜子も堅志にはないトキメキをくれる男性に出会ったが、自分のかねてからの夢である「自分のお店を持ちたい」という目標を叶えるためにお店で修行し、さらに堅志が傷つかないように別れを切り出す

本書ではあまりフォーカスされて書かれてはいないが、これは彼らが初めて「自分で選んだ道」「自分で決意した選択肢」だということだ

ここがこの本の魅力であり、解釈を深める要因となる

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これまでは、彼らは他人が敷いた(強いた)レールを走ってきた

嫌でもこのレールからははみ出すことができなかった

これ以上はみ出してしまうと、さらに生活が困窮されることが目に見えていたからだ

しかし、最後に彼らは自分達で自分達の人生を決めた
社会が認めたものではなく、「自分が認めたもの」で生きていくと

応援したくなる、彼らの背中はとても大きく感じられる

彼らにとって大切なのはお金でも、地位でも名誉でもなく、「やりがい」だったり「満足感」だったり「高揚感」「没頭感」なのだろう

それが、彼らにとっては何にも代えがたい「最上の報酬」であると考えるからだろう

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実は主人公は堅志ではなく、日菜子?

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個人的な感想だが、本書の主人公は実は堅志ではなく、日菜子なのではないかと思う

堅志はさまざまな紆余曲折を経て、最終的に「清く、貧しく、貧しく」の精神にたどり着いた

しかし、日菜子はどうだろうか

物語のはじめから、いやもっと前から彼女はこの精神にたどり着いていた

他の人とは比べず、比べてもどうしようもないことを彼女は最初から認識していたし、等身大の自分であること、自分の立ち位置を理解して暮らしていた

確実に変化があり日菜子が自信をもって決断できるまでには、やや時間がかかったものの、お金や物に縛られない心の豊かさを求めていたのは、物語の中では日菜子がいちばんだった

本書では、基本的に堅志が物語の中心として語られ、心情の多くも堅志の露呈が多くなる

日菜子も堅志ほどではないが、心情の表現はあるが、彼女の性格も影響して多くは語られない

けれども、日菜子がもし心の豊かさではなく安定や理想を求めて板垣のもとへ行っていたなら、堅志もつられてお金と物に溢れた「壁の向こう側」
の人間になっていた

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堅志はもともと頭も切れて成績優秀な人物であり、おそらく壁の向こ側(お金と物の世界)の存在だったが、日菜子によってこちら側(清貧の世界)に根を下ろすことになった

日菜子が堅志を思って、「板垣を振って、堅志とも別れる」話をしなければ、堅志も書評家になる決心ができなかったと考える

最後まで読み切って、日菜子の底力と誰にも負けない強い意志のおかげで、この作品は成り立っていると感じた

日向を歩く人々と石田先生

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石田先生はこうした社会的にはメジャーではない人々の描写が非常に魅力的であると思う

あたかも友人にそういう人がいるかの如く、リアルな出来事とそれぞれの登場人物たちの背景が緻密で繊細さに溢れている

石田先生の代表作である「IWGP(池袋ウエストゲートパーク)」や私が初めて石田先生の本を読んだ「親指の恋人」「美丘」「娼年」など、数え切れないが、社会の中心から少し離れた人々を非常に生き生きと魅力的に書かれていると思う

他のレビュー記事やインタビュー記事でもあったが、石田先生は女性の表現の仕方が非常に秀逸である

女性よりも女性を知っているという表現では足りないくらいの表現をされるのでいつもつい物語を忘れて感心してしまう時もある

そんな石田先生の「清く、貧しく、美しく」も例外なく、繊細な女性の心、二人の男性の間で揺れる日菜子の心理描写がウズウズするほどリアルで自分が擬似体験しているような錯覚を覚えた

本当に石田先生の作品は私と相性がいいなとつくづく感じ、次回の最新作が待ち遠しくなった次第である

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最後に

本当にただの感想となったが、素敵な作品を書き上げてくれた石田先生に感謝である

単純に「物の豊かさではなく心の豊かさを追うんだ」というメッセージを届けたかったわけではなく、そこに至るまでの過程を届けたかったのだと思う

物や金がステータスだった大量生産・大量消費の時代から変わって、いかに心の豊かさを求めるのかにシフトしている時代なのだろうか

煩雑すぎる世界は便利な反面、さらに生きにくさを増しているように思える

そんな逆行する時代でも、たくましく、自分の信念を貫いて生きる堅志と日菜子はまさに、「清く、貧しく、美しく」を代表する人物の少々なのかもしれない

最後までお付き合いいただき、ありがとうございます!





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