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雑食系のブログです。ミニマリスト、ゼロウェイスト、アニメ、ブログ作成のポイント、イラストなど。うだつの上がらないブロガーたち、自分に向けて書いています。箸休めになれば幸いです。

【徹底解説・レビュー】子供のトラウマ?プチプチアニメでトラウマ級の衝撃を残した作品【バベルの本】

はじめに


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「バベルの本」というアニメをご存じだろうか。もともとは、「プチプチアニメ」というNHKの子供向け番組の中で、放送されていたアニメである。しかし、子供向けといっても「バベルの本」はある意味で子供向け出はない。ダークなテーマがそこに存在していて、幼少期に見てからずっと今日何十年経っても忘れることができないアニメになっている。中毒性もあり、しばしば見たくなる。結末が分かっているのに、自分の中の結末と答え合わせしたくなる。そんな不思議なアニメである。
 
ショートアニメだからと言って、甘く見て欲しくはない。ある種、「ファンタスティックプラネット」と言われるトラウマの代表格のアニメと同じくらいの存在感を示す。私が忘れたくても忘れられないアニメ作品のひとつだ。百聞は一見に如かず。まずは見ていただきたい。それで、自分の中に沸き上がる感情を感じていただきたい。私の原点でもある、最大級のおすすめアニメだ。始めにハッキリ謂っておくが、正直好き好みが白黒別れるアニメである。それでも、見てほしい。あなたの貴重な五分間を無駄にしない傑作である。

「バベルの本」とは?


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バスに乗り損なった兄弟。2人がなにげなしにバス停に置いてあった本を開くと、本から小さな塔が出現。塔の中に手を差し入れ、さらに小さな本を見つけた兄弟は、本からほとばしり出た奔放なイマジネーションの世界に引き込まれる……。NHKの短編アニメ放映枠「プチプチ・アニメ」枠で放映された約5分の短編アニメーション。CMやミュージッククリップなど幅広いジャンルで活躍し、国外からも高く評価されるアニメーション作家・山村浩二が制作を担当。幻想的な陰影の使い方が印象的な作品。

https://www.allcinema.net/cinema/235509

「プチプチアニメ」とは?

プチプチ・アニメ』は、1994年4月4日からNHK教育テレビ(Eテレ)で放送されている5分間のミニ番組アニメーション短編アニメ)放送枠。

放送されるアニメは粘土を使ったクレイアニメや実験的要素を踏まえた作品が多く、みんなのうたと並んでNHKのアニメーションへの意欲が窺える番組である。

「バベルの本」の解説・あらすじ


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とある街。夕方のようなオレンジ色の空の中を一台のバスが走る。そのバスを必死に追いかける小さな姿が二つあった。しかし小さな彼らの歩幅では、どうしても走るバスには追いつけない。帽子をかぶった男の子と女の子。二人の兄妹はバスに乗ろうと全力で走る。

バスは停車しており、誰かがまさに乗り込んでいた。しかしあと一歩のところで、バスは虚しくも発車してしまう。二人は次のバスに乗ろうと近くのベンチに腰をかけた。


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すると、ベンチの上に何やら本があるのに気がつく。誰かの忘れ物のようだ。黒い表紙の厚手の本を興味深そうに二人は見る。試しに開いてみると、なんということだろう。本から突風が巻き起こったではないか。


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目も開けられ無い突風ではあったがしばらくすると落ち着いた。すると、本の中からにょきにょきと塔が生えてきたではないか。兄は、その不思議な塔の中を覗きこんだ。見るとそこには、丸い空洞な部屋が広がっていた。図書館のような書斎のようなその部屋の真ん中で机に座り、本を読む一人の男性がいる。男性が読んでいるのも黒い本だった。そして男性の顔はどことなく、先ほどバスに乗車した男性の顔に似ている気がする。

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その男性が本のページを開くたびに、不思議な幾何学模様やカメのような動物が空中に浮かび上がる。妹も中を覗きたそうに兄にせがむが、兄は見入ってしまう。少しすると男性は本を置いて席を立ちどこかに行った。その好きに兄は塔の中に手を入れて本を摘み出した。

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子供の手でつまめるくらいの小さな本には何かがびっしりと書かれていた。英語のような文字が見える。F、W、S、I、u、G・・・しかし英語ではなさそうだ。英語の「I」に似た文字は塔のようにも見える。そしてどこか知らない国の文字が細かく書き記されていた。

その不思議な本は見ていると、何やら鯨のような巨大な魚のようなものが優雅に本の中を泳ぐ様が見れた。


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優雅にカモメが空を飛行する海。兄はいつの間にか船長になり、望遠鏡で外の様子を眺める。小さな船に乗って、大海原を海遊している。妹は船の上で釣りを楽しんでいる。兄は船を止めるのにちょうどよさそうな島を見つけた。椰子の木が生える長閑な島だ。そこに大魚を釣り上げた妹とともに上陸する。しかし、何やら不穏な雰囲気がする。


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時刻は夜。二人は楽しく釣った魚を焼いて食べている。お腹一杯になった二人は気持ちよさそうに椰子の木下でまどろんでいる。

すると、月明かりの中、島がぐんぐんと大きくなっていった。島が激しく揺れたことで、二人も驚いて目を覚ます。

 

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なんと、島だと思っていたそれは、大きな鯨だったのだ。二人は海に大きく投げ出される。船に急いで乗る二人だが、再び投げ出されてしまう。そして鯨は大きな口を開けて、二人を飲み込もうとする。鋭く長い歯が二人を迎え撃つ。

 

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海流に激しく巻き込まれる二人。しかし間一髪のところで本を閉じることができた。荒い息を整える二人。ここは海でもなく島の上でもなく、バスの停留所があるベンチだ。

 

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冷めやらぬ興奮を抑えながら息をしていると、兄の肩を叩く手が。

 

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見ると、そこには先ほどバスに乗車していた男性が。本を返してと言うように手を差し伸べる。兄は「どうぞ」と手渡す。

 

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少しするとまたバスが到着した。男性と二人の兄妹はバスに乗車するために移動した。

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しかし、ベンチに注目して欲しい。ベンチの上には、小さな本がある。兄が塔の中から摘み出した本である。本の中から鯨のような巨大な生き物が勢いよく飛び跳ねるのが分かる。そして、物語は終わりを迎える。


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感想

まさに、神作といえる。これが子供向けアニメとして放映されていたのが、とても信じがたい。大人向けでも差し支えない内容である。
 
まずイラストが全体的に非常にダークである。色はカラフルではなく、モノクロでセピア色に近い。キャラクターたちも可愛らしいからは離れているように思える。妙なところが現実的で、妙なところが現実場馴れしている顔である。おおよそキャラクターグッズでは売り場にはあまり並ばないようなキャラクターデザインである。バベルの本の持ち主の顔を覚えているだろうか。夢にまで出てきそうな形相である。こんな怖い人に本をせがまれたら、それこそ渡さざるを得ない。もしも渡さなかったら、命でも狙われそうな勢いである。それか本を渡すまで地の果てまで追ってきそうな雰囲気もある。しかし、このダークな部分がなぜか病み付きになってしまう本作の魅力である。怖いもの見たさ、なのだろうか。またあのスリルを求めてしまうのだ。どうしても。
 
次に本作の魅力としては、「創造力の裏側をつく展開」である。一見するとただの本なのにも関わらず、ページから魚が飛び出してきたり、「バベルの本」のタイトルにもあるようにバベルの塔のような建物が出てくる。次はどんな展開なのだろう、どんな終わりを迎えるのだろうと私たち視聴者は欲をむき出しにして見いってしまう。ただの本だと思っていたら、気がつくと鯨の背中の上にいたり、その鯨に飲み込まれて、命の最後を覚悟する息を飲む展開がある。と思えば、それは絵本の中の話であって現実ではない。しかし兄弟はさも現実で体感をしてきたかのような緊迫感に額を汗で濡らしている。「バベルの本」の魅力はここなのだ。現実とそうでない世界の境がなく、創造力のさらに向こう側にある世界へと誘ってくれる魔術のようなもの。その魔術に意図も簡単にかかってしまう。
 
さらに不思議なことに、兄妹たちは、男に本を渡すと何事もなかったかのようにバスに
乗り込んでいく。このシーンに私は非常に違和感を覚えた。おかしくはないだろうか。あんなにも急死に一生の体験をした後だ。少しはその本や男性に対して、恐れや慄きや動揺を見せてもおかしくはない。しかし本当にあの不思議な体験をした時間がそのままくり抜かれたかのように二人は歩いていく。まるで、本を渡した時に記憶を消されたかのようだ。それとも、男性が少年の肩に触れたときに魔法でもかけたのだろうか。子供は好奇心を超えて生きる生き物ではあるが、すんなりとバスに乗ったシーンには何か深い理由があるのではないかと勘ぐってしまわざるをえない。
 
最後に個人的に感じる「バベルの本」の魅力は、終わらないオチである。兄弟たちがたまたま拾った本を通して未知の体験を私たちに届けてくれる。最終的には本は持ち主の手に戻る。全てが終わったのようで実はこの作品は何も終わっていないのではないかと私個人は考える。映画で言う起承転結のまだ起の部分なのではないかと。正直細かい設定も解説も何ひとつとして解明されていない。すべての判断を視聴者に委ねている。私たちはこの終わらないオチに閉じ込められて、答えを求めてついまた見てしまう。バベルの塔が終わらない=完成しない塔、永遠に未完成と言う象徴なのであれば、まさにタイトルにふさわしくこの本の正体は公式が発表しない限り未完成のままである。バベルの塔は天に近づきたいという人間が建て始めた本である。本はしばしば知識や知恵の象徴として語られるときがある。もしも作者がこの本を知恵や知識としての意味を込めたのであれば、一生答えがないバベルの本を知りたいという知恵の欲を塔とかけたという解釈もできる。塔が天を目指したように、私たちもこの物語の意味というものを目指している、その姿を表しているのかもしれない。
 
さらに解釈を進めると、タイトルの「バベルの本」は、最後にベンチに残された本なのではないかと推測できる。バベルような塔からつまみ出された本こそが、こ
 
バベルの本は結局何だったのか?なぜこの不思議な本は作られたのか?紙の本なのか?塔にいる小さな人は何なのか?本の持ち主である男性の正体は?なぜ男性はそれほどまでに大切な本を置いていったのか?そしてその本を持って再びどこに向かうのか?
 
答えは一生ないままである。しかし、それがいい。

「バベルの本」はどこで見られるか

現在、おそらく監督の山村さんの公式YouTubeと思われるチャンネルにて動画を見ることができす。
山村監督の他の作品も同時に公開をしているようなので、バベルの本を見て興味が湧いた方はぜひ見ていただきたい。
 

www.youtube.com

ちなみに試しにAmazonを探したら、アニメーションのDVDが発売されていたようだ。ファンであれば持っていたい1枚である。

 

 

最後に

今回は胸に残り続けるアニメ「バベルの本」について詳しく解説をした。言い方は相応しくないが、「トラウマ」級のインパクトを残してくれる衝撃作品だ。ぜひ一度は見てほしい。一度見るとまた見たくなってしまうのは、致し方ないのでご了承いただきたい。
 
 

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